こんにちは。
行徳の鍼灸院【はり温灸治療院カラダノミカタ】です
今回は【顔面神経麻痺】の記事を書きたいと思います。
顔面神経麻痺は、人口10万人あたり15~30人前後に発症する炎症を主体とした神経変性疾患です。その病態や評価表、治療法には多くの課題が残されています。
顔面神経麻痺の原因は、突発性(ベル麻痺)、ラムゼイ・ハント症候群、外傷性(頭部・顔面の外傷や手術)、腫瘍、耳性(急性・慢性中耳炎)、全身性(サルコイドーシスなど)に多岐にわたります。
なかでもベル麻痺の頻度が最も高く、全体の65%前後を占め、次いでラムゼイ・ハント症候群が約10~15%程度であり、鍼灸治療においてもベル麻痺とラムゼイ・ハント症候群が対症となりやすいです。
ベル麻痺の発生機序は、これまで循環障害による虚血説やリウマチ説、自己免疫説など種々の要因が示唆されていましたが、近年ではヒト単純ヘルペスウイルスの関与によるウイルス再活性化説が最も有力視されています。
つまり、若年期に初感染したHSV-1が口内炎など発症したのち、顔面神経膝神経節に潜伏感染し、感染症や代謝性疾患といった背景因子や寒冷、抜歯、紫外線の暴露、妊娠、精神的・肉体的ストレスなど、種々の誘因により再活性化をしたしウイルス性神経炎に続く、浮腫・膨化により、顔面神経管内で圧迫を受け、二次的虚血を惹起し、麻痺が発生します。
ベル麻痺に対する鍼灸治療は、WHOによる適応疾患の1つにあげられており、効果が期待できるものであります。しかし一方で専門医による鍼灸治療の評価は決して高いものではありません。
その理由として、元来、顔面神経麻痺はそのものの自然治癒率が70%程度認められることと、現在、顔面神経麻痺の治療は保存療法、特にステロイド大量療法を中心とした薬物療法により治療成績は90%を超える好成績であることと、過去の文献上、薬物療法単独群と薬物療法に鍼灸治療を併用した群でのランダム比較試験において、明らかな有意義が得られなかったことが考えられるからだそうです。
しかし、ここにはステロイド大量療法による弊害、顔面部のこわばり(自覚)に対することは記載されていません。データとしての評価だけではなく、予後に対する患者の感覚を重要視すると鍼灸は有効かつ有用な治療法の1つとして評価できるものだと思います。
ぜひ鍼灸を選択肢に入れてください。